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今回の「今月の顔」は、山本海苔店の社長、山本徳治郎さんです。嘉永2(1849) 年に日本橋室町に創業して以来、一世紀半に渡って、極上の風味と香りを伝え続けた山本海苔店。創業者の名を代々受け継ぐ老舗の六代目当主として、先代より継承された家訓を細やかな心づかいで守りながら、時代に応じた組織の変革を剛胆に図ろうとする現在の心境を語ってくださいました。 |
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中央区日本橋との関わりは、かなり深いとお聞きしましたが。 |
今から150年以上も前に、初代が神奈川県の網島から上京し、現在、本店のある日本橋室町に店を構えたのが始まりです。創業は嘉永、2(1849 ) 年当時はこの地に魚河岸があり、鰹節屋や瀬戸物屋など魚に関係するお店が多かったようです。大正12年の関東大震災で魚河岸が日本橋から築地に移りましたが、この頃には海苔の需要も業務用から御進物用へと主流が変化していたこともあり、当店は日本橋にとどまって商売を続けました。戦前にはデパートに出店していなくて、御歳暮の時期になると、竹の囲いで通路を作って行列をさばくほどお客様がご来店されたと聞いています。 |
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創業以来、受け継がれている家訓や教えはありますか。 |
山本海苔店の「味付海苔」の創案や店頭販売の確立など、山本海苔の発展に最大の功績があった二代目徳治郎が遺した『諸事書留帳』という二巻から成る書があり、当店の金庫に大切に保管されています。そこには、「お客さま第一に物事を考えよ」とか「本業を踏み外すな」など、いつの時代にも通じる教えが毛筆で記されており、この書が代々の当主に明治の始めから受け継がれています。私も経営の節目節目で目を通すのですが、「良い商品を安く・正直に商売を」という精神が基本になっていると思います。 また創業以来、「お客様に喜んでいただく心」と、「働いている人を大切にする心」の2つの「心」を大切にしています。 |
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六代目に襲名されて、取り組まれたことは。 |
襲名したのは平成5年ですから、ちょうどバブルの崩壊により難しい時代に入っていた頃でした。しかしながら、それを利用すると言うか、うまくいかなくても時代背景を理由に出来るので、次々と新しいことに挑戦する気風を社内に育てることが出来ました。現在、会議での発言も活発になり、新しい商品も次々と提案されるようになっていますので、土壌の確立ができたと自負しています。 海苔はバランスの取れた健康食品として、日本人に愛されていますので、スナックや乳酸菌入り等の様々な付加価値を付けることで、事業の可能性を広げています。 |
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暖簾を守る六代目として特に目標とされていることはありますか。 |
社内の意識革新を目標としています。老舗の店ですと経営的な判断を経営者に依存する傾向があります。しかし、社員一人一人が自ら判断して実行した上で責任をとるという習慣を身につけてもらいたいと思います。新入社員から幹部までが自分の判断を積み重ねた結果、出てくる知恵は大変な財産であり、そのような状況で活気ある職場が形成されると思います。 老舗の店で一番求められるものは、実は?革新?なのです。二代目徳治郎を始めとする先代達も同様に、受け継いできたものをただ守ってきただけでなく、その時代に合わせた変革を積極的に図ってきました。その結果が山本海苔店の山本海苔150年の歴史であり、商品も経営も「革新」の連続が「伝統」なのだと私は考えています。 |
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中央区との関わりには、どのようなものがありますか。 |
生まれた育った場所ではありませんが、本店のある日本橋には幼少の頃よりいつも遊びに来ていましたし、高校時代からは本店の手伝いをしていたので、いつも日本橋にいたような気がします。昔の日本橋は、商業地としてもっと活気がありましたが現在は金融街になってしまい、銀行が3時で閉店するので、街が分断された様な危惧さえあります。再び日本橋のパワーを取り戻すことを願い、今は日本橋倶楽部の理事を務めたり、日本橋の上を走る高速道路の地下化に力を注いでいる名橋「日本橋」保存会にも会社として協力しています。 |
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中央区の若い人たちへのお言葉はございますか。 |
若い人は古いものを否定して何でも新しいものを肯定しがちですが、古いものにも積極的に触れて、その良さを理解してもらいたいと思います。中央区は、日本橋、銀座といった個性的な町を包括し、古さと新しさを同居させている、懐の深い地区です。建物にしろ、人情にしろ、街並みにしろ、良いものは次の世代に残していくという懐の深さを持っており、若い人にもそんな感性を身につけてもらいたいです。 |
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