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略歴
昭和5年1月16日 兵庫県芦屋生まれ
昭和26年 3月 慶應義塾大学経済学部 卒業
   同  4月 味の素株式会社入社
   同  9月 米国ノースウエスタン大学留学
昭和27年 8月  同   大学院修士課程修了
昭和46年11月 味の素株式会社取締役就任 
昭和48年11月  同社 常務取締役就任
昭和54年11月  同社 専務取締役就任
昭和56年 6月  同社 取締役副社長就任
昭和62年 3月 三楽株式会社(現メルシャン株式会社)取締役社長に就任、現在に至る。
現在の兼務役職 味の素株式会社監査役、マーカム・ヴィニヤーズ、昭和薬品化工、鈴木三栄、日本合成アルコールなどの役職を兼任。
その他 役職 慶應義塾大学卒業生評議員、社団法人日本経済団体連合会理事、日本ワイナリー協会理事長、日本洋酒酒造組合理事、日本蒸留酒酒造組合常任理事などを務める。
趣味は、ゴルフ。

※不易流行
松尾芭蕉のことば。世の中には変えてはならないことがある、が一方で時代の変化には的確かつ柔軟に対応していく必要がある。
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 今回の「今月の顔」は、メルシャン株式会社社長の鈴木忠雄さんです。"500円ワイン"のキャッチフレーズで、ワインを誰でもが気軽に楽しめる身近な存在に広め、さらにはポリフェノールブームを巻き起こしたリーディングカンパニー、メルシャン。消費者ニーズの変化を見極める鋭い視点と、柔軟かつ的確な対応姿勢など、その企業精神と手がけてこられたお仕事を、こころ和むお酒の話を交えて伺いました。

メルシャン株式会社は、昭和9(1934)年創業と伺っていますが、中央区、京橋とのかかわりはいつ頃からでしょうか。
 現在当社のビルがあるこの場所は、もともとは味の素の東京進出の拠点でした。味の素をつくる過程で副産物として出来た小麦澱粉をなにかに利用できないかということで、発酵技術を応用して合成酒をつくったのが、メルシャンの前身である昭和酒造という会社です。創業者は兄(三郎助)とともに味の素を起こし両方の社長を兼ねていた鈴木忠治で、わたしの祖父にあたります。その後父(三千代)が引き継ぐのですが、会社設立当初は、味の素の一事業部でした。
  川崎の工場でつくっていた味の素を、広く普及させるには、やはり東京の中央に本社をおきたい、ということで地の利のよい京橋に決めたと聞いています。以来、味の素もメルシャンも、ともにこの地域をベースに全国、また世界への躍進を目指して参りました。現在の京橋ビルは、昭和47(1972)年に建てられ、はじめは味の素が入っており、当社は、現在味の素本社のある宝町(現京橋1-15)でしたが、昭和64(1989)年にこちらに移りました。私は、昭和26年味の素に入社しましたので、いずれにしろこの地域とのおつきあいはとても長いです。
 
昭和26年、味の素入社当時の町の様子はいかがでしたか。
 戦後間もない時期で、宝町の味の素のビルは占領軍に接収されており、裏の小さな狭いビルで仕事をしていました。まだ大型ビルはなく、道幅も狭く、自動車などはほとんど通っていない状況でしたね。表通りは一応舗装はされていたと思いますが、裏通りは未舗装のところが多かったようです。そのころ便利な交通手段はスクーターで、それに乗り一日20軒ぐらい集金などに走りまわっていた記憶があります。寒い時期や、雨の日は結構たいへんでしたが・・・。今の若い人たちには、想像もつかない情景でしょうね。
 
味の素の副社長から、メルシャンの社長になられたのが昭和62(1987)年ですね。メルシャンの企業精神、代々受け継がれていることがありますか。
 当時メルシャンは三楽株式会社といいまして、父の後、従兄弟にあたる鈴木鎮郎氏を経て継いだ社長の昆布氏が、就任1年程で体調を崩したため、祖父、父と関わりが深い会社ということもあり、私が5代目の社長を引き継ぐことになりました。
 お酒は免許の仕事で、一般の食品とは勝手がずいぶん違いました。もとは兄弟分の会社とはいえ、味の素とは規模も仕事の仕組みも違い、いろいろな意味でそうとう大きなカルチャーショックはありましたね。
 しかしながら、消費者商品を手がけるうえで大切な事は、その時代のニーズにあった商品を提供して行き、「お客様の役に立つ仕事をする」ということで、その信条は常に貫いてきたと思っています。
 戦中戦後の一時期「三楽」という合成酒の消費量は、灘の五郷全体の清酒の生産量を上回るほどでした。が、戦後日本が豊かになっていく過程で、変化していきました。お酒という業種である以上、合成酒のみでなく新しいニーズに対応するべく、ウイスキーやワインの製造技術のノウハウを父の代には広げていきました。自分達の持つスパンの中で、時代によって変化するお客様のニーズに応えていくというのが、メルシャン創業時から受け継がれている精神です。
 
これまでの人生の中で、とくに印象深く思い出に残ることがら、心に残る出会いがありましたらお聞かせください。
 1987年の社長就任直後のことでしたが、それまでの日本の蒸留酒にたいする課税が、特級、1級、2級という等級制から、欧米で行なわれているアルコール度数制に変換することになりました。当時わが社の主力商品「オーシャン」は2級ウイスキーで、広く親しまれていたのですが、税制変革で1本670円がいきなり1230円となってしまい、商品として消滅するしかないというほどの会社にとっては大きな危機でした。新税制施行まで2年間という猶予期間のなかで、どうしたら生き延びられるのか、社員全員が一丸となって、「新しい商品構成と生産性向上によるコストダウン」を徹底して行ないました。
 その中で、1缶200円の女性向けのカクテル「ピーチツリーフィズ」という新商品が大ヒットし、危機を乗り越えると同時に、常に新しい顧客ニーズをリサーチし、新商品をクリエイトするという風土が社内に生まれ、いろいろな部門に波及していきました。
 
メルシャンは"今日の日本のワインブームの仕掛け人"とも伺っていますが。
 そういった評価をいただけるのは嬉しい限りです。かつてお酒の種類別売上げではビールの70パーセントに対しワインはわずか1パーセントでした。われわれは消費者調査から「ワインを飲みたい」という志向のわりに、実売に結びつかないのはなぜなのかを徹底的にリサーチし、さまざまな障害をとりのぞくプロジェクトを進めてきました。その結果1990年代には、低価格のワイン(フルボトル500円)の開発、新世界(チリやアルゼンチン、ポルトガルなど)のワイン輸入販売、健康的な(ポリフェノール)ワインの効用の普及、という3つのことを実現し、ワインの総売上を1パーセントから、現在の4パーセントちかくにまで伸ばしてきました。 潜在的な消費者のニーズを商品化して、提供して行く。それは必ずお客様のためになり、役に立つという前提にたったものでもあります。
 また、最近はインターネットが一般的な情報手段としてたいへん便利になっています。メルシャンでは1996年に会社のホームページを開設しておりますし、2000年にはワインに関する総合的なサイトも立ち上げました。興味のある方は是非ご覧になってください。
メルシャンHP http://www.mercian.co.jp/
ワインのサイト http://www.wine-days.com/
 
メルシャンサロンについて、また社長お薦めのワインをご紹介いただけますか。
 当社はオフィスビルではありますが、1Fのエレベータホールをはさんだ両側を、一般の方々にご利用いただけるサロンに開放しています。ワインはもとより食事も、落ち着いた雰囲気で楽しんでいただけると思います。ランチは1000円で、グラスワインのサービスつき、オフィス街の若い女性の方々に好評です。また、夜はコース料理もあり、小売価格でワインをご提供しています。夜は9時までですが、気軽にワインをご賞味頂いています。
 リーズナブルでお薦めのワインは、国産ものではボン・ルージュ。ポリフェノールを通常の2倍含んだコクとまろやかさのある、定番の赤ワインです。白はさわやかな口当たりのボン・ブラン、有機酸が多く健康志向のかたにはお薦めのワインです(ともに750ml=580円)。輸入ものでは、チリのコンチャ・イ・トロ・サンライズのシリーズ。赤はメルロー'00(750ml=1,165円)やピノ・ノワール'98(750ml=1,350円)、白は辛口のシャルドネ'00(750ml=1,165円)などがあります。
 
中央区の次世代を担う若い人たちに、なにかひと言お願いいたします。
 よい学校を出た、大きな会社に何年勤めたか、などということが勲章になる時代は終わり、これからの21世紀は、社会や地域に何を貢献したか、どう貢献できるのか、いわばその中身、業績が、シビアに問われる時代になります。若い人たちは、こうした認識をはっきり持つべきですし、そのような社会で力を発揮し、生き抜いて行くためには、個人個人が"自分にはこれが出来るのだ"という明確な意志をもつことだと思います。自分を磨き、訓練する努力を惜しまないでください。
 

※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。  
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