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早稲田大学大学院ファイナンス研究科長 大村 敬一
今回の「今月の顔」は早稲田大学大学院ファイナンス研究科長で経済学博士の大村敬一さんです。ファイナンス分野における研究や教育を長年続けてこられた大村教授は、2004年4月にオープンしたコレド日本橋に新設された早稲田大学日本橋キャンパスの責任者として、社会人の継続的教育に取り組まれています。また、女性のためのジョブセミナー、子供向けのマネー教育や文化芸術活動等、その活動は多岐に渡ります。社会人のため生涯学習の大切さ、キャリア構築のあり方などについて貴重なお話を伺いました。 インタビュー映像がご覧いただけます。 Windows Media Player ソフトのダウンロード Windows Media Player 56K Windows Media Player BB Real Player ソフトのダウンロード Real Player BB Real Player 56K 【座右の銘】無いことは得ること、有ることは失うこと
略歴
昭和24(1949)年4月 神奈川県横浜市生まれ。
昭和47年 慶応義塾大学商学部卒業
     日本生命保険相互会社勤務
     全国銀行協会連合会勤務
昭和56年 慶応義塾大学経済学研究科博士課程修了。
昭和56年 法政大学経済学部助手
昭和57年 法政大学経済学部助教授
昭和61年 マサチューセッツ工科大学スローンスクール客員研究員(日米友好基金)
平成3年  法政大学経済学部教授
平成5年 経済学博士。ミシガン大学ビジネススクール客員研究員
平成9年  早稲田大学商学部教授
平成12年 日本ファイナンス学会会長
平成13年 内閣府(経済財政)官房審議官
平成14年 早稲田大学大学院ファイナンス研究科開設準備室長
平成16年 早稲田大学大学院ファイナンス研究科長・教授、同ファイナンス研究センター所長、同商学部教授
著書に『オプション 理論と応用』東洋経済新報社、『詳解 株式オプション』金融財政事情研究会、『株式市場のマイクロストラクチャー』(日本経済図書文化賞受賞)(共著)日本経済新聞社、『現代ファイナンス』有斐閣、『経済学とファイナンス(改訂版)』(共著)東洋経済新報社ほか、論文等多数 
キャンパス
早稲田大学日本橋キャンパスがオープンした経緯とコンセプトについてお聞かせください。  もともと、早稲田大学が社会人を対象にしたキャンパスを新設するにあたり、ビジネス街への設立を構想していました。社会人の為の教育システムは、学びやすい立地にある事が重要だからです。コレド日本橋のオープンに伴い、具体的な話が持ち上がり、現在に至りました。
 早稲田大学日本橋キャンパス(通称NCam)のコンセプトは「働きながら学べる」ことです。丸の内や銀座・大手町といったビジネス街から本校のある西早稲田までは通学時間が掛かりますが、日本橋であれば通い易く、研究活動への負担も軽減される上に、ビジネスの中心地であるという利点があります。働きながらもっと勉強したいという問題意識をもっている人達に、いかに教育というものを継続的に提供し、再教育の環境が与えられるかが私どもの課題です。
キャンパスの組織や内容等についてお教えください。
 当キャンパスには、金融発祥の地・日本橋という地の利を活かし、大学院レベルでファイナンスに関する総合的な知識を高めることが出来る「早稲田大学ファイナンス研究科(NFS)」があります。それに加え教育をサポートする「早稲田大学ファイナンス研究センター」では、「早稲田大学ビジネス情報アカデミー(NBA)」と「ファイナンス総合研究所(NIF)」が併設されています。社会人を対象にビジネス教育を行うNBAでは、より実践的なテーマをショートプログラムで学ぶことが出来ます。また、ファイナンスに関する総合的な研究を行うNIFでは、社会に還元・貢献できる研究や教育に役立つ研究を理念とし、早稲田大学内外の研究機関との共同研究や客員研究員の受け入れなども行っています。その他に、文化事業にも取り組んでいます。また、「ファイナンス稲門会」を設立して、早稲田大学卒業生のビジネス地区での交流拠点としても、ひとつの役割を担いたいと考えています。

具体的には、どのような方が学ばれていますか。
 当大学院には春学期と秋学期があります。両方で約150人が入学し、平均年齢は約33歳です。また、NBAにおける単発のプログラムがフル稼働すれば、5千人程の学生数になる予定です。職種では、6割近くの方が金融関係の企業や業務に携わっています。とはいえ、我々が目標としているのは、一般法人企業におけるCFO(最高財務責任者)を育てることです。現在は合併問題等、財務の責任者が経営的な判断を下さなくてはいけない時代です。ですから、高度なファイナンスの知識を持ち、一般企業において、CFOからCEO(最高経営責任者)として活躍できる人材を育てたいと思っています。また、大学院修了後も単科で、特定の研究テーマを学ぶことが気軽にできます。当キャンパスは、学校を卒業した方々が、継続的に学習する為にあるのです。

女性向けのセミナーなども開催されているそうですが。
 ファイナンスの世界は、優秀であれば報酬も良く、出産後の職場復帰や自宅勤務も可能であるなど、女性にとって好ましい条件が揃っています。それにも関わらず、この分野で活躍する女性がまだまだ少ないのが実情です。そこで、これから社会に出る女性を対象に、ファイナンス界で活躍されている女性を講師に招き「レディース・ジョブ・セミナー」を開催し、好評を博しています。また、すでに働いている女性向けにも「レディース・キャリアアップ・セミナー」等を開き、マーケットへの参画を促進しています。今後は、受講に関しては無論のこと、当校を卒業した方に対してキャリアアップのためのコンサルティングやカウンセリング等も充実させていきたいと思っています。

インタビュー風景
インタビュー風景
ご自身の中央区・日本橋との関わりはいつからでしょうか。
 日本橋兜町の東京証券取引所に象徴されるように、日本橋はまさに金融の中心地です。私自身の専門がファイナンスなので、1980年くらいからは、日本橋茅場町にある証券関係の機関へよく訪れたものです。以来、常に日本橋界隈にはご縁がありました。
  この1年は、ほとんどキャンパスに詰めている状態なので、お陰様で日本橋には大変詳しくなりました(笑)。今までは日本橋といえば百貨店と飲食店くらいしか知らなかったのですが、多くの企業の方々と知り合い、知己を得ました。また、仕事後に、近隣の店で我が校の学生と交流を計ったりもします。最近は夜遅くまで営業している店も増え、日本橋の雰囲気が次第に変わりつつあると実感しています。
インタビュー風景
地域の活性化の一種として、日本橋の街とコラボレートすることなどはありますか。
 絵画のオークションや子供向けのマネー教育等は、当キャンパスの活性化を狙った事業ですが、結果的には地域の活性化へと繋がった良い例でしょう。
  私は、これからの経営者には「知識、社会的倫理、文化的理解」の3つが大切だと考えています。1番目にあたるファイナンスの知識はもちろん、社会的倫理やアカウンタビリティ(説明責任)等は授業で学ぶことができます。そして文化的理解、つまり、絵画や音楽を通じて人とコミュニケーションすることも、このキャンパスで提供したいと思っています。
  もともと、キャンパス内を絵画で装飾していましたが、流通や価格等に関するファイナンスの視点から「コレド・アート・オークション」という絵画のオークションを開催するに至りました。さらに、クラシック音楽のミニコンサートを開くなど、文化的な活動も広がって来ました。また、子供が小さな頃から計画性を持った金銭感覚を養う為に「キッズ・マネー・キャンプ」という金融教育も開催しています。
  こうした活動は全て継続的に行うつもりですが、回を重ねる毎にスポンサー企業が増し、コレド日本橋全体のイベントになっています。キャンパスの活性化を狙った企画が、様々な企業の参画により地域全体へと広がって行くことは、大変喜ばしく思っています。

お仕事をする上で、あるいは生きて行く上での信条についてお聞かせください。
 私の信条は「後悔しないように」ということです。若い時は自分だけの為に後悔しないよう努めておりましたが、次第に対象が家族や学生等に広がり、今では広く社会的に意義あるものにも「後悔しないように」しています。年齢を経るに従って、自分の為だけでなく社会的意義あるものに意味を見出し、さらには自分と社会の価値観が同じになった時に歓びが深まるとつくづく感じます。自分が満足した教育を提供出来なければ、受けている人も満足出来ないでしょう。後悔しないよう一生懸命に学問や教育に取り組めた事は良かったと思っています。
インタビュー風景
インタビュー風景
これまでで一番心に残る出会いや出来事についてお聞かせください。
 慶應義塾大学大学院時代の指導教授である村井俊雄(むらい・としお)教授です。私は助手の試験に失敗し、一度社会に出ました。既に家庭を持っていたのですが、研究の世界へ戻りたいと相談したところ「10年やれば専門家」とおっしゃって下さいました。この一言で研究の道へ進む決意ができ、現在の私があります。このご恩が現在の仕事に繋っていますし、先生が慶應ビジネススクールの創設者のお一人でいらしたことを思うと、現在、自分が早稲田大学日本橋キャンパスの創設に関わっていることが、とても感慨深く思います。

最後に、若い人たちへメッセージをお願いします。
  後悔しないで成功する人生を歩んで頂きたい。成功というものの定義は、経済的満足や精神的満足等、人により異なりますが、いずれにしても成功するまでやり遂げることが大切です。1年で目的を達成する人もいれば、10年掛かる人もいます。私自身も1、2年というスパンで考えれば不成功に終わっていたでしょう。しかしながら、一度目標を抱いたら時間が掛かってでも継続し、目標を達成することが大切です。長年仕事をしていく中で、たとえ現在の2、3年が大変であっても、自身の目標のために努力していけば後悔せずに済む、ということを若い方々にはお伝えしたいと思います。

※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。  
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