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今月の顔-2004.3 バックナンバーはこちら
中央区助役 鐘ヶ江真知恵
今回の「今月の顔」は、都内23区で初の女性助役に就任された鐘ヶ江真知恵さんです。教育、福祉、保健などの地方行政に携られて30数年、子育てや高齢者の介護、家庭と仕事の両立というご自身の経験を通して、「一人ひとりの幸せ」を大事にしたいとおっしゃっています。女性の視点を生かした「人にやさしい区政」の推進に向け、男女共同参画社会の施策、再活性化の街づくりなど、今後の取り組みについてお話を伺いました。インタビュー映像がご覧いただけます。 Windows Media Player ソフトのダウンロード Windows Media Player BB Windows Media Player 56K Real Player ソフトのダウンロード Real Player BB Real Player 56K 【座右の銘】一期一会プロフィール
中央区助役 鐘ヶ江真知恵 写真
昨年(平成15年)、中央区の助役に就任されたわけですが、中央区との関わり、これまでの経緯をお聞かせ下さい。
  昭和44(1969)年、大学卒業と同時に東京都の職員に採用され、中央区役所の社会教育課に配属されました。私の卒業当時は、男女雇用機会均等法(昭和61年)の施行される前で、まだ民間企業における大学卒事務職の採用枠が、女子に対してあまり開かれていませんでした。そのような世相の中にあって、私は「生涯、仕事をもってやっていきたい、できれば福祉関係の仕事に携わりたい」と希望していましたので、行政の道に入りました。以来30数年、中央区役所に勤務し、教育、福祉、保健などの仕事をしてまいりました。就職後1年たらずで結婚し、二人の子育てと家庭の切り盛りをしながらの勤務でしたので、苦労もありましたが、ご迷惑をおかけしながらも、周囲の方々の協力に支えられ、仕事を続けてこられたことは幸せなことだと思っています。
  助役の大任をお引き受けしたのは、自分の経験を生かして仕事に取り組むことにより、微力ながらも社会に還元できることがあれば、と思ったからです。
入所当時、中央区の街の印象はいかがでしたか。  ちょうど現在の区役所が建物を立て替えている時期でしたので、区内のあちこちに間借りし、分散して業務が行われていました。本庁は、明石町の旧聖路加病院看護婦宿舎の一部にありましたし、採用されたときの所属である社会教育課は銀座の泰明小学校の3・4階でした。銀座はまだ、昔からの建物が多く、日本橋上の高速道路はすでにありましたが、街全体に「空がたくさんあった」という印象が残っています。現在と比べると、川や堀もずいぶん多く、水辺の潤いがありました。まさに高度成長期の真ん中で、忙しくはありましたが、活気に満ちた時代の中で育てていただいたという感慨があります。
30数年におよぶお仕事の中で、とくに印象に残っていらっしゃることはどのようなことでしょうか。   平成2〜3年にかけて、中央区立の特別養護老人ホーム「マイホームはるみ」(中央区晴海1-5-1 平成3年オープン)の開設準備に携わったことがとても印象に残っています。当時、老人福祉課長をしており、公設民営の新しいタイプの施設として、中央区ならではの良いものにしたいと、いろいろ研究と勉強をしました。私どもが大切に考えたのは、単に高齢者を介護する場を用意することではなく、世代交流やボランティア活動を通じて、福祉の理解と思いやりの心を育てる場となる施設にしたいということでした。中学校、保育園との合築のメリットを活かし、地域に開かれた世代交流型の施設を造ったことにより、地域のボランティア活動も年々盛んになり、福祉や教育に対する理解が深まってきたことは嬉しい限りです。
中央区助役 鐘ヶ江真知恵 写真
中央区助役 鐘ヶ江真知恵 写真
助役に就任され、今後とくに力を入れて行きたい施策、新しい取り組みなどについてお聞かせ下さい。  就任して半年余り経ちましたが、助役という仕事、責任の重さを痛感しているところです。私は、全ての仕事に精通できているわけはありませんので、まず、区民の方々、職員の方たちの「一人ひとりの幸せ」を考える発想を大切にし、それを積み上げることによって、結果として「トータルな幸せ」を目指して行きたいと思っています。区長のお仕事を助ける立場ですので、区長の施策に対する考えに、私なりの女性の視点を加え、皆さんに喜んでいただける区政の実現に取り組んで行きたいと思っています。
 例えば、保育園や学校など教育の現場には、教師や親、そして子供たちがいます。より良い教育の場を考えた時、「安心して子供を任せられる」といった大人の立場からだけでなく、その環境におかれる一人ひとりの子供の視点にたってみることも忘れてはならないことです。行政に限らず、人間はともすると声高な意見に傾きがちです。何も言わない、言えない方の想いや心を大切に汲み取り、広く伝えて行きたいと思います 。
都内23区初の女性助役ということで注目されますが、女性に関する施策では何かございますか。  中央区立の女性センター「ブーケ21」(湊1-1-1)が開設されたのが平成5(1993)年で、昨年10周年を迎えました。女性の学習・交流の場として、また情報の発信・啓発を目的にこれまで様々な活動を展開してきました。さらに、平成11年の男女共同参画社会基本法の施行を受け、中央区でも平成13年から10年計画で、「中央区男女共同参画行動計画」がスタートしています。ブーケ21は、今後民間の方々の力を借りつつ、男女参画社会の総合的な拠点にして行きたいと思っています。弱い人の立場に立った行政、切捨てのない発想が、皆で力を合わせ、温かい、人にやさしい社会を実現する重要な要素ではないかと思います。
これまでの人生で、心に残る人との出会いや出来事などがございますか。  社会教育、福祉や保健関連の仕事を通して、いろいろな場面で様々な女性の方たちとの出会いがあり、そのひとつひとつが私の支えとなり、強く心に残っております。「マイホームはるみ」の立ち上げで、ご一緒した社会福祉法人の方、ボランティアの方など、たくさんの女性同士の連携があり、「絶対良いものにしましょう、一緒に頑張りましょうね」と声を掛け、助け合い、熱い想いをぶつけ合ったことは、仕事をする上で大変大きな励みとなりました。都の副知事をしていらした金平輝子さんには、いろいろな場面でお世話になり感謝しております。
最後に、次代を担う若者たちにひと言メッセージをお願いいたします。   昨今、世代間の交流というものが希薄になっているように思います。それは、もちろん若い人たちだけの要因ではないでしょうが、身構えるばかりではなく、活発な交流や働きかけによって、できる限り年長者のノウハウぐらいは奪ってやろうと思っていただきたい。年配者の経験や知恵も若い人たちを応援する力になっていくはずです。
 そして、今の若い人たちにある、心のやさしさや温かさを大切に、綺麗な地球をきれいなままで次代に伝えていって欲しいと思います。私は本質的に、人類は進歩するものだと信じていますから。
中央区助役 鐘ヶ江真知恵 写真

※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。  
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