東洲斎写楽 三世大谷鬼次の奴江戸兵衛

東洲斎写楽は、画面いっぱいに人物の上半身を描く「大首絵(おおくびえ)」の役者絵を得意としました。本図に写したのは「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)」という演目で、奴江戸兵衛(やっこえどべえ)に扮した三世大谷鬼次(おおたにおにじ)です。写楽はこの悪役の鋭い形相と今にも掴み掛かろうと威嚇する姿を、強いインパクトで表現しました。