東洲斎写楽 市川鰕蔵の竹村定之進
東洲斎写楽は人物の上半身を大きく描いた「大首絵(おおくびえ)」の役者絵を得意とし、約十ヶ月の短い期間に百四十枚前後の作品を残しました。写楽の代表作といえる本図は「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)」という演目で、忠義心の強い竹村定之進(たけむらさだのしん)を演じる当代きっての名優・市川鰕蔵(いちかわえびぞう)を、堂々たる存在感で見事に描写したものです。