葛飾北斎 遠眼鏡(風流なくてななくせ)
葛飾北斎の浮世絵では、極めて珍しい美人大首絵です。眉を剃ってお歯黒(おはぐろ)をつけた武家の婦人の傍らには、愛くるしい仕草の島田髷の娘が和製と思われる朱塗りの遠眼鏡(望遠鏡)を覗いています。本図に描かれたのは北斎の美人画の特徴といわれる、清楚で上品な瓜実顔(うりざねがお)の「宗理型美人」でした。