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日本橋トップインタビュー

HOME > 日本橋トップインタビュー > 株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ顧問 中村裕
日本橋美人新聞No.22冬春号(2010−2011年)掲載
美人は日本橋で創られる

株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ顧問 日本橋美人博覧会実行委員会委員長 中村 裕

 
インタビューアー:山田 晃子
NPO法人 東京中央ネット 副理事長
日本橋美人推進協議会 プロデューサー
日本江戸クラフト協会 総合プロデューサー
ヤマダクリエイティブ代表取締役

日本橋と日本橋美人について


中村裕
株式会社ロイヤルパークホテルズ
アンドリゾーツ顧問
日本橋美人博覧会実行委員会委員長
日本江戸クラフト協会会長
好きな言葉…
Guest is always right.
山田 本日は、日本橋美人博覧会実行委員会の中村委員長をお訪ねし、日本橋と日本橋美人についてお話を伺います。
 まず、日本ホテル協会会長(2005年〜2009年)、VISIT JAPAN大使(2009年〜2013年)などの要職をご経験されているなかで、日本の観光産業についてお聞かせください。
中村 2003年に当時の小泉純一郎総理は、施政方針演説で「日本への外国人旅行者数を、2010年までに1000万人にする」と掲げました。
それまで「娯楽」と考えられていた観光を「産業」として捉えた「観光立国宣言」は、私にとっても新しい解釈でした。
 2008年には「観光立国」の推進体制を強化するために観光庁が発足し、観光を国の産業として育てる基礎が固まりました。
今や観光産業は地域活性化の起爆剤として、日本の成長戦略に欠くことのできない要素となっています。
 私は観光が脚光を集める大切な時期に、日本ホテル協会の会長を務めさせていただいたことで、日本のホスピタリティ産業、観光産業におけるホテルの重要な役割を業界の立場から提言してきました。
山田 英国有力紙「ガーディアン」の主催による最も権威ある旅行賞「ガーディアン・トラベル・アワード(2010満足度の高い観光ランキング)」の都市別部門で、東京が初の1位に選出されました。そのような状況において、日本橋地域の観光要素や魅力をどのようにお考えですか。
中村 首都「東京」は、国内の観光要素を提供している都市として、観光資源に事欠かないと言えるでしょう。東京には、IT製品やファッション、アニメなどの革新性と、歴史や文化が共存している魅力があります。同様に、ここ日本橋にも賑わいを創出する近代的な街づくりと江戸時代から続く文化が渾然と融合しています。特に江戸情緒のあふれる日本橋には、外国からのお客様が興味を惹くような街並みや名所、老舗などが現在していることが魅力でしょう。また、人形町、横山町、大伝馬町、小伝馬町、堀留町などの辺りは、下町や横丁ならではの風情があり、独特の趣を醸し出しています。
私は、この日本橋地域の資源を当ホテルの財産と考え、スローガンに「地元密着」を掲げ、日本橋地域とともに成長していくことが必要であると考えてきました。
 その一環として、2004年から「ディスカバー江戸下町」というテーマの元「着物の日」を定めサービスを行い、「近隣8コースの散策マップ」を配布、「人力車による観光コース」の選定など様々な試みを行ってきました。
 なかでも特に好評を得た試みのひとつに、地元飲食店の「バイリンガルメニュー」作りがあります。なぜならば外国人旅行者は、訪れた国の人々が日常生活で口にしているものに興味を持つからです。そこで、地元飲食店に「翻訳のお手伝いをするので、メニューに英語表記を付けてほしい」と呼びかけ、現在までに58店舗のメニュー翻訳のご協力を行い、地域と連携して外国人旅行者の利便性に努めてきました。
 このように「旅」の醍醐味には、ショッピングのみならず「訪れた国の文化に触れ、人に出会い、歴史を知ることを求める」という知的好奇心というのがあります。特に欧米からの旅行客は、その傾向が強いように感じます。このようなソフト面のご要望に対し、どのようにフォローできるかが観光促進の鍵になるとともに、外国人旅行者が感じる魅力の向上に繋がると私は考えます。

第3回日本橋美人博覧会

山田 観光庁ではインバウンドの促進を図るため、外国人旅行者の受け入れ体制に関する仕組みの構築(ハード)、外国人に対する日本の魅力の発信(ソフト)に貢献した人々を「VISIT JAPAN大使」として任命し、活動の意欲的な継続・発展を促しています。委員長がそのお一人に任命されたのも、こうした活動が評価されたことだと思います。
 日本橋を訪れたお客様を「おもてなしの心」で迎え、地域のブランド力を向上させるのは、大変に価値のあることだと考えます。
 「地元密着」ということでは、日本橋美人博覧会実行委員会の委員長としてもご尽力をいただきました。
中村 2010年10月22日〜11月9日に行われた「江戸で彩る"Japan Beauty from Edo-Tokyo" 第3回日本橋美人博覧会」は、パビリオンを建てずに、日本橋の名店、企業、ホテルなど既存の新旧の建物が博覧会会場となり街ぐるみで協力して開催しました。また、地域外にもサテライト会場を設け「江戸をテーマに伝統技術や歴史、美意識」などに関わる展示を行いました。
共催イベントや店舗フェア、ワークショップ、各種ラリーなど楽しいイベントをご用意し、国内外から29万5000人もの方が、日本橋を訪れてくださいました。
山田 中村委員長ご自身の、日本橋のお気に入りのスポットについて教えてください。
中村 私は、3歳まで銀座で育ち、その後9歳まで茨城、北鎌倉、七里ガ浜等に疎開していました。日本橋小舟町の母の実家に毎年一度訪れるのが楽しみで、上京の際の車窓から眺める日本橋から小舟町の景色に、都会への憧憬を感じていました。1988年にホテルの開業に向けて赴任しましたが、かつて都電が走っていた往時の雰囲気が残る街並みを目にすると、心が惹かれるものがあります。
 私は当ホテルでは、訪れたお客様にきめ細やかなパーソナライズドサービスができるホスピタリティを提供したいと心がけてきました。日本の「おもてなし」の文化は、世界にも通じる素晴らしさといえるからです。その真髄は「目配り、気配り、心配り」にあると考えます。それを実現するために私自身が常にホテルの現場に立ち、お客様や社員たちとコミュニケーションをとって来ました。私の中ではホテルの空間は、今もなお最も寛げる場所です。
山田 中村委員長にとっての「日本橋美人」とはどんな女性でしょうか。
中村 「日本橋美人」の「優・粋・知・創」という4つの美のコンセプトを感じさせる、精神面で充実した女性でしょうか。
 私は常々、一流を目指すことの大切さを感じています。さすが日本橋美人だと言われる一流の女性に出会える街、それこそ日本橋ですね(笑)。
山田 私たちも委員長のおっしゃる「目配り、気配り、心配り」の大切さを感じつつ、一流の女性としての「日本橋美人」を目指し、輝いていたいと思います。

ファッションポイント
附下:大羊居「夢の小箱」
袋帯:川島織物「桃山押箔(本金箔)」
中世のヨーロッパで貴婦人たちが好んで贈り合ったという愛らしいお菓子の箱がモチーフ。真糊の線上げでレースを施し、金糸の縫い取りが身ごろに施された手の込んだ逸品です。本金箔の帯とあわせパーティなどに向く華やかで個性的な装いになります。

撮影協力:ロイヤルパークホテル
衣裳協力:日本橋タカシマヤ 7階呉服サロン www.takashimaya.co.jp
着付協力:花影きもの塾 www.hanakagejyuku.jp
撮  影:吉川信之
※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。
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