衆院選 深谷、中山氏の接戦

 解散した衆議院議員の総選挙が10月28日に公示された。東京第2区は、平成12年と同じ顔ぶれ。自由民主党の深谷隆司(昭和10年生れ)民主党の中山義活(昭和20年生れ)日本共産党の室喜代一(昭和30年生れ)の3氏が立候補した。今回の選挙は小選挙区になって3回目のためか、マスコミを中心にマニフェスト選挙を強調。しかし長引く不況とデフレ進行をどのように食い止めて、脱出口を見出せるかについて必ずしも明確な糸口を与えてくれるマニフェストが見出せないためか、話題性のある選挙区以外は冷めているのが実情。今週から終盤へどのような展開になるか注目される。東京2区で特長的なことは、自民党に戻った鳩山邦夫氏が東京18区で立候補して民主党の菅氏と一騎打ちの勝負に挑んでいること。このことで東京2区(旧8区)で培われてきた鳩山票の行方が注目されている。自民党、民主党はそれぞれ我田引水の予測をしているが、果たしてどういう結果になるか。さらに特に中央区では前回に比べて有権者が1万人も増えている。投票率にもよるが、これら新住民の動向が以外に当落のカギを握るのではないか―3候補の陣営ともにこのように見ており、予断を許さない闘いが最後まで続きそうだ。

重い新住民の動向
雨のなか出陣式

 公示日は1日中、冷たい雨が降りしきった。午後1時、人形町の中山事務所前で出陣式。新大橋通りの歩道が狭いため隣接する駐車場を中心に90人が参加した。総本部長をつとめる宮入正則氏が「私は区民党として中山さんを推している。中小企業のために必ず働いてくれる人」と応援をぶった。雨の中、傘もささずにマイクを握った中山候補は中小企業支援を中心に語り「正々堂々と闘いたい」と論戦に挑む姿勢を明確にした。
 深谷陣営は歩道にテントを張って午後3時、出陣式。200人以上の支援者が集まり、交通整理が大変だった。自民党の嶋田支部長は自民党の実行力をたたえ、保坂参院議員夫人は、3年余の無念の思いを考えると言葉もありませんと言葉を詰まらせた。深谷候補は実績を強調すると同時に新しい時代を担っていく覚悟を語った。立石都議も応援をぶった。公明党の田畑、植原区議も参列した。
鳩山票の行方は?
 前回の総選挙では東京の自民党現職が枕をならべて落選の涙をみた。今回も状況は変わらないという見方が少くない。こういう自民党が厳しい世論にさらされているなか、都知事選後に自民党に出戻った鳩山邦夫氏が、今回は東京18区から出馬した。その選挙動向はともかくとして、では東京2区の鳩山票はどうなるか。同じ自民党として闘い易いという見方と、大半は「深谷さんと闘ったんだから」中山票に移行するという見方に分かれている。
 今回、自民党は地域、職域でこまめに会合を開き票固めにいそしんでいる。従来、東京8区は保守本流を固めれば勝てる鉄則があった。しかし前回の総選挙の都市部での結果に見られるように、各種団体の締めつけが必ずしも功を奏さないことが歴然とした。不況のあおりともいわれる。
 中央区でも日本橋の若旦那衆のよびかけに党派をこえた中小企業の人たちが集まり、景気回復アップを求めるデモを実施した。こうした新しい動きに政党がどう応え、説明責任を果たしていくかが、これからの投票動向を決めていくと見られる。従って鳩山票もこうした論議のなかで行方がそれぞれ方向づけられてきそうだ。
狙っても答えず?
 規制緩和で中央区には場所を問わず高層マンションが次々と建てられ、このため前回総選挙より1万人も有権者が増えた。すでに今年の区長区議選で明らかになったようにこれらマンションは住民安全を建前にセキュリティが完全なため、手のほどこしようがない。管理組合を通しても政治や選挙になると拒否されるのが実情。
 都心のマンションは家賃が高いので入居している新住民の生活レベルは周辺区より高い。それは区民税の増加から数字でも示されている。そこで深谷候補は自らのメールマガジンをPR。しかし公選法で選挙中は新しい掲示ができないものの、過去のページに期待をつなげる。

ふかや 隆司候補
 キャッチフレーズは「今、あなたと一緒に日本を変えたい!」、そして次のように訴える。「この国の安全は大丈夫なのか、この国の人々の安心は確保できるのか。不況が続いて、中小企業の悲鳴が聞こえる…。子供達の教育はこれでいいのか。…この3年、色々な思いが私の心を占め、様々な具体的プランを描きました」、それがメールマガジン「週刊ふかやたかしんぶん」という。さらに「政治家として何ができるか」だけではなく、「私達の力で新しい日本をともに造りませんか」と変化したことを強調。

中山 よしかつ候補
 「力強い若さで政権交代 爽やかに一新」をキャッチフレーズに次のマニフェストを約束する。政府系融資の個人保証を撤廃▽貸しはがしのない「お金を貸せる銀行」▽あなたを犯罪から守ります▽日本の高速道路を欧米諸国なみに無料化▽「ゆとり教育」を見直し、教育現場の再構築を▽税方式への移行により、安心できる年金制度▽天下り禁止法をつくり、利権政治を根絶▽力強い日本を再生▽下町の文化と伝統を保護します。さらに「子供の未来はあなたの一票で変えることもできるのです」とも訴える。

むろ 喜代一候補
 「生活不安をなくす政治」をポイントにとくに消費税増税反対を前面に出す。この15年間に「しぼりとられた消費税は1人100万円」「ムダな公共事業や軍事費を削れば、増税なしに安心できる社会保障制度をつくることができます」と提案。また企業・団体献金は禁止、政党助成金は廃止」「汚れたカネを1円も受け取ってない政党は日本共産党だけ」とも主張。さらに、「中小企業、地場産業を守るルールを確立」「不良債権処理の加速方針を撤回」「借換補償制度、無担保、無保証融資を拡充」とも提案。

〈平成12年、東京2区の結果)
中央区 文京区 台東区 合計
中山よしかつ 16,713 39,756 32,275 88,744
ふかや 隆司 16,057 31,181 34,685 81,932
むろ 喜代一 5,171 16,443 10,541 32,155

〈比例代表の得票数〉
中央区 文京区 台東区 合計
民主党 11,833 29,848 22,624 64,323
自由民主党 9,456 17,700 19,839 46,994
日本共産党     5,375 15,451 10,883 31,709
自由党 6,279 12,729 11,646 30,654
公明党       3,529 7,085 8,311 18,925
社会民主党     1,761 5,487 3,500 10,748

投 票 所 前回
城 東 小 232 282 514 549
泰 明 小 331 555 886 908
銀 座 中 234 301 535 503
京橋築地小 2,141 2,725 4,866 4,576
明 石 小 1,310 1,739 3,049 2,735
中 央 小 1,038 1,190 2,228 1,890
京華スクエア 806 951 1,757 1,343
明 正 小 1,677 1,941 3,618 3,035
京橋地域計 8,905 11,050 19,955 17,800
常 盤 小 265 429 694 775
十思スクエア 1,258 1,421 2,679 1,686
日本橋小 1,622 1,996 3,618 2,945
有 馬 小 3,660 4,496 8,156 7,324
久 松 小 1,779 2,295 4,074 3,205
阪 本 小 667 712 1,379 1,347
日本橋地域計 9,251 11,349 20,600 17,282
佃 島 小 4,178 4,852 9,030 8,034
月島幼稚園 1,947 2,222 4,169 3,525
特別出張所 2,714 2,803 5,517 5,030
月島第二小 3,170 3,319 6,489 4,958
豊 海 小 2,243 1,960 4,203 3,783
晴海区民館 2,096 2,353 4,449 3,610
月島地域計 16,343 17,509 33,857 28,940
中央区統計 34,504 39,908 74,412 64,022
(有権者数は今年の9月2日現在。前回の数字は平成12年総選挙の当日有権者)

新しい町の方向を示す
明治座の決起大会で深谷氏


 深谷隆司氏の中央区連合後援会は10月24日、明治座で必勝の総決起大会を開催した。1階を満席にする盛況ぶりで参加者は1,000人をこえた。観客席の入口には明治座の三田会長と長男で社長の芳裕氏が参列者を迎えた。
 舞台には自民党の支部役員と区議12名が座り、司会は立石都議がつとめた。嶋田支部長は「早い変化には皆さんと一緒になって行かないと間に合いません。皆さんと同じ気持で応援していきたい」、矢田区長は、両国郵便局の合築や銀座の容積緩和に果たした功績を紹介、それぞれ必勝を祈った。
 3区の選対本部長をつとめる保坂衆院議員は、前回の惜しみて余りある結果に「本人は、難問山積の時に実力を出し切れないことに自問自答してきた」と、3年余の思いを語ると同時に、40年賭けた人生への闘いの勝利に決意を新らたにした。
 松下政経塾で政治を学んだ廣済堂の中社長は「都市を変えることの出来る東京のエース」とたたえると同時に、参列者に「皆さんが新しい住人10人に本日のことを語れば勝利できる」と、新しい方法を講釈した。
 花道から登場した深谷氏は「負けるとは夢にも思っていなかった」と前回の選挙を振り返り、「やりたいことは山ほどある。そんな思いを国会で爆発させたい」と決意を示すと同時に、共に歩んでいく新しい姿勢を明らかにした。築地市場については「新しい築地についてヒザをまじえてとことん話したい」との方向を示し、東京駅前など街づくりへの意欲も示し、区議と立石都議と共に取り組めば「理想の町の実現は可能」と断言した。

新しい中央区に意欲
区政報告会で高橋区議


 4月区議選で6期目を達成した高橋伸治区議の後援会は10月25日、箱崎ターミナルで区政報告会を開催した。会場には200人をこす支援者が集まった。中央区環境衛生協会の角田副会長が開会を宣したのち、後援会代表世話人の小堀章三氏は、6期にわたり支援してきたことへの感謝の意を表すと共に「安全で安心して住める新しい町づくりにさらに取り組んでほしい」と期待を寄せた。中央区環衛協会の潘会長は「観光の視点での中央区発展について頼りにしている」と挨拶。足立区選出の高嶋都議夫人も激励の挨拶を寄せた。
 区政報告に立った高橋区議は、厳しい財政事情や年金の行方などにふれて、新しい仕組づくりを必要としているとの方向を明らかにした。また新潟の上越市を視察したときに市長が「定住人口ではなく永住人口を増やしたい」と主張したことにふれ、代々住める町にしていきたいとの意欲も明らかにした。
 また「私も安倍幹事長と同じ49歳」「田中角栄氏も小沢一郎氏も47歳で幹事長をつとめた」として、今が時代の大きな変り目にあるとの認識を示した。そして最後に、中央区が永久の発展を遂げて企業が生きのこり、区民の生活が守られる「新しい中央を作りあげていきたい」と決意を示した。
 矢田区長は「区議会の重鎮であり、中央区の悠久の発展に欠かせない」と高い評価を与えた。
 選挙目前の中山氏は、構造改革にふれて、「いまJRは駅に店舗を入れて新しい商売をしようとしている。これが実現したら駅前の小売り店は商売できなくなる」として、民営化のあるべき姿を説くとともに、道路公団の改革についての民主党のマニフェストを説明した。
 第2部の懇親会は人形町2丁目3の部町会の山内会長が音頭をとって乾杯をして始まった。環境衛生組合の工藤元組合長や歯科医師会の福原元会長の子息らが激励の挨拶。

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