A)めまいは日本人の50人に1人、認められ頻度の多い症状です。西洋薬を服用しても改善しない方も多くおられます。
この梅雨の時期、めまいを起こす方が増えます。ちなみに天候など自然が人間の症状におよぼす影響を研究する学問は、生気象学(せいきしょうがく)もしくは気象医学と言われますが、医学部の授業で単位を取らなければ卒業できない国がヨーロッパにはあります。
Q)めまいの原因は? めまいにはどんな種類がありますか?
A)原因としてストレス、睡眠不足、運動不足、偏食、アルコール、タバコなどが考えられています。最近では大音量で長時間音楽を聞き続ける若者たちが、めまいに悩まされるケースも増えてきました。
また種類は大きく3つあります。小脳梗塞など脳の疾患による中枢性めまい、突発性難聴など耳の疾患による末梢性めまい、こころのトラブルで起きるめまい。圧倒的に多いのはこころのトラブル、心因性めまいです。
Q)危険なめまいがあると聞いたのですが…
A)緊急性を要する小脳出血など、めまいには危険な病気が隠れていることがあります。手足のしびれ、顔や唇のしびれ、モノが二重に見える、いつもと同様の声が出せない、激しい頭痛といった症状のいずれか一つがあれば要注意です。急に激しいめまいを発症し、これらの急性症状を伴う場合は早期治療が原則です。
一見、耳のトラブルと思われためまいが、実は起立性調節障害などの自律神経疾患、不整脈など内科疾患であるケースもあります。
Q)どういう治療法がありますか?
A)耳への血流を改善させるための薬ATPやステロイドなどがあります。ただ、めまいに効くとされている薬も、統計学的な分析では完全に確立された治療法がまだありません。
私は北里大学東洋医学総合研究所で10年弱、漢方外来を担当した中で、漢方薬がめまいに有効であるケースを数多く経験してきました。東洋医学では、めまいを体の中に水が滞っている状態と捉えることが多く、その水を取り去る薬が有効です。
五苓散がその代表薬であり、即効性があります。五苓散の中の桂皮(シナモン・ニッキ)には、蝸牛の内リンパにある浮腫を軽減しめまいを改善する効果があります。その他にも釣藤散、抑肝散といった薬が有効です。両方の生薬に入る釣藤鈎(チョウトウコウ)と甘草はグルタミン酸により異常活動をもつ神経系を抑制する効果があります。他にも八味地黄丸、加味逍遥散などがめまいに有効です。天候の悪化にともない生じるめまいには、半夏白朮天麻湯が著効するケースもあります。本薬が効く方にはやせ型、胃腸が弱い、頭痛を伴うなどパターン(証:しょう)があります。
めまいは、患者さんの主観がどうしても多く入りがちです。主観で判断せざるを得ない症状は西洋医学が最も苦手とします。一方、東洋医学はそういう主観を細やかに拾い上げることに優れています。めまいにお悩みの方は、ぜひ東洋医学を用いた治療も検討してください。
堀田先生がお勤めの病院をご紹介します
※平成31年3月29日に閉院しました。病院名 | 医療法人社団福和会 八重洲地下街クリニック |
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診療科 | 内科 漢方内科 小児漢方 (鍼灸応需) |
診療時間 | 9:30~14:00 / 16:00~20:00(受付は終了30分前まで) |
休診日 | 土・日・祝日 |
住所 | 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号 地下2階 |
電話番号 | 03-6262-7867 |
ホームページアドレス | https://yaechika-clinic.jp/ |