A. 「ひざ小僧」の骨のでっぱり部分を押すと痛みがあるなら、オスグット病の可能性が高いでしょう。成長期の代表的なスポーツ障害のひとつです。骨端症(発育線の病気)として、体育以外のスポーツをあまり行っていない例にも発症しますが、多くは膝蓋骨(しつがいこつ:お皿の骨)の上の大腿四頭筋−膝蓋骨−膝蓋腱(しつがいけん:お皿の下の腱)からなる、ひざを伸ばす役割を負う「伸展機構」の使い過ぎにより障害が起きます。
成長期には、骨の急激な成長に筋肉・腱の伸長が追いついていけず、相対的に筋・腱が短縮します。そのためひざ周囲の軟部組織の緊張が高まります。そこにジャンプやストップを繰り返すようなスポーツによる使い過ぎが重なると腱の付着部の未成熟な発育線に過度の負担がかかり、成長軟骨部が剥がれるなどの損傷をきたして障害が誘発されます。
診断は整形外科医による診察とX線検査で簡単につきます。
治療は、痛みを誘発するスポーツの運動量を減らす、一時的に中止するなど、局所を安静にすることで、消炎鎮痛を図るのが基本です。膝蓋腱の上にバンドを装着して腱付着部への負担を分散する装具療法や超音波などを用いた物理療法も有効です。骨の成長が終わるとともに、症状が自然と消失する場合が多いですが、成長線閉鎖後も剥がれた骨片が残存して痛みが持続する例では骨片を摘出する場合もあります。
スポーツ活動前後に大腿四頭筋の十分なストレッチング、終了後に患部のアイシングを行うなど、普段のトレーニング時から発症の予防に努めるのが賢明です。発症には、筋力、筋・腱の柔軟性のアンバランス以外にも、成長期にありがちな家族やコーチからの過分な期待に応えようといった精神的因子による過負荷、無理なトレーニングプログラムやスポーツ環境因子など多因子が絡み合っている可能性もあります。発症の予防のためには、個々の運動能力を把握している指導者側が、発症要因を熟知し、限界を超える過度な運動を控えさせるようコントロールし、各々が最適な環境のもとでのスポーツ活動を行えるよう配慮していくのが大切です。
いずれにしても、痛みを感じたら、早めに整形外科医にご相談ください。