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中央区のお医者さん

2007.5月号
 

子どもの偏頭痛

 反復する頭痛をもつ小学生の中には、偏頭痛のお子さんもいらっしゃいます。大人の偏頭痛といくつか相違点があることを念頭に置き、子どもの偏頭痛を理解する必要があります。子どもの偏頭痛は、その発病の仕方から、「仮病」や「不登校」と誤解される場合があり、注意が必要です。

 

 

Q. 偏頭痛は、大人と子どもで、特徴が違う点があるということですが、まず、大人で言う偏頭痛は、どんな特徴がありますか?

  A. 大人の偏頭痛は、片側あるいは両方のこめかみから目にかけて「ズキンズキン」と脈打つように痛みます。痛みの発作は、一度始まると4時間から72時間続き、発作が起こると仕事や勉強が手につかなくなり、ひどい時には寝込んでしまい、日常生活に支障を来たします。
大人の場合、発作の前兆として、目の前にギザギザするものが見えたりすること(閃輝暗点)があります。光や音、においに敏感になることもあります。

  Q. では、子どもの偏頭痛の特徴は?
  A. 子どもの場合、急に始まり、発作の持続時間が比較的短く、1時間から数時間でおさまる子もいます。さっきまで元気だった子どもが急に具合悪そうにしていたり、頭が痛いと言っていたと思ったら、急に元気になっているため、仮病と間違われてしまうこともあります。
また、痛み方はズキンズキンという拍動性の痛みだけでなく、頭全体の締めつけ感を言う場合があります。これは別の病気である筋緊張型頭痛の痛み方の特徴でもありますが、子どもの場合、偏頭痛でも起こります。

  Q. 偏頭痛は、頭痛発作にストレスが関係しているのでしょうか?
  A. はい、その通りです。偏頭痛は、ストレスが引き金になって発症しますが、ストレスが持続しているときよりもストレスから解放されたときの方が発症しやすいと言う特徴があります。
大人の場合、週末に起こりやすいのですが、子どもの場合は、日々のストレスから開放される平日の学校帰りや、帰宅後に発症することが多いのです。一方、週末には元気であるため、不登校や怠け病と決めつけないことが大切です。また体育の授業や運動後に頭痛を訴えることも多くあります。

  Q. 偏頭痛は、お腹の症状も伴うと聞きます。
  A. はい、そして、嘔吐や下痢などの腹部症状が強いことも子どもの偏頭痛の特徴です。周期性嘔吐症(自家中毒)を合併していることも多く見受けられます。

  Q. どんな子が、偏頭痛をよく起こしますか?
  A. 偏頭痛をよく起こす子どもの特徴は、(1)乗り物酔いをしやすい、(2)喘息やアレルギーがある、(3)低血圧気味で、朝礼で立ちくらみを起こす、(4)家族に特に母親が偏頭痛を持っている、(5)きちょうめんな性格である などがあります。

  Q. 偏頭痛の原因は?
  A. 偏頭痛の原因は、完全に解明されたわけではなく、いろいろな説がありますが、有力なものが三叉神経血管説です。この神経は、頭部・顔面・口・鼻・眼などの感覚をつかさどる神経で脳幹につながっています。脳内の血管が、緊張状態で働く交感神経によって収縮しているが、緊張が解けるとともに副交感神経の働きによって緩んで拡張する。それが過ぎると急激に拡張した血管に三叉神経が圧迫されてそれが拍動性の痛みとして大脳に伝えられます。ストレスに伴うセロトニンという神経伝達物質の増減も関与していると指摘されています。

  Q. 治療を教えてください。
  A. 一般的に頭痛の原因は、様々あるため、問診に十分時間をかけて診断されます。頭痛の場合、安易に市販の鎮痛薬に頼ることなく、かかりつけの小児科医を受診するようにしてください。
偏頭痛の治療は、頭痛を起こりにくくする予防薬と頭痛発作時のつらい症状を軽減させる頓服薬があります。子どもには使用経験の乏しい薬も使われる場合があり、小児神経の専門医に紹介される場合もあります。

  Q. 偏頭痛の診断を受けた場合、なにか対処法はありますか?
  A. 偏頭痛の対処法は、(1)頭痛を誘発する環境(人ごみ、強い光、騒音、強烈なにおい、テレビゲームなど)を避ける、(2)低血糖は偏頭痛の引き金になるため、食事をきちんととる、(3)偏頭痛を誘発する食品(チョコ、チーズ、ハム・ソーセージ、化学調味料など)はとり過ぎない、(4)マグネシウム(大豆、海藻、カツオ、イワシ、ホウレンソウなど)、ビタミンB2(レバー、ウナギ、ぶり、いわし、牛乳、ヨーグルト、卵など)をしっかりとる、(5)寝すぎを避け、規則正しい生活をする などがあります。
そして、万が一、頭痛発作が起きた時は、(1)暗い静かな部屋で休ませる、(2)入浴・運動・マッサージは避ける。
よって、学校の場合、無理せず体育の授業を休んだり、すぐに保健室で休みましょう。またお子様が偏頭痛であれば、あらかじめ担任や養護の先生に話しておくことよいと思います。

*参考文献:『ママ、頭が痛いよ!』清水俊彦著、ワンツーマガジン社、2006年

 
小坂先生
小坂 和輝
(こさかかずき)
智弁学園和歌山高校・広島大学を卒業し、聖路加国際病院小児科、東京女子医大循環器小児科学教室を経て、現在中央区月島で小児科専門クリニック(病児・病後児保育室を併設)を開業。中央区医師会理事。抗生物質の適正使用、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、少年犯罪、メディア・リテラシーについてNPOと連携して取り組む。本人は社会企業家でありたいと望む。小一と3歳の2児の父。趣味は株・飲むこと・走ること。

小坂こども元気クリニックホームページ


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2007年5月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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