東京中央ネットロゴ NPO(特定非営利活動)法人東京中央ネット 東京中央ネットは中央区のポータルサイトです。
東京中央ビジネスナビ参加企業について
検索する
サイトマップ お問い合わせ
HOME > 今月の特集 > 伝統技術【工芸編-1】
Special Issueバックナンバーはこちら
伝統技術【工芸編-1】日本橋人形町「ばち英」映像がご覧いただけます。Windows Media Player BB英語版Windows Media Player 56K英語版Real Player 56K英語版Real Player BB英語版Windows Media Player ソフトのダウンロードWindows Media Player 56KWindows Media Player BBReal Player ソフトのダウンロードReal Player BBReal Player 56K 「ばち英」看板「ばち英」2代目店主 小林英二郎さん
日本橋人形町界隈でもひときわ下町情緒が色濃く漂う、甘酒横町。オフィス街に隣接しながらも、近隣には安産祈願で有名な水天宮や明治座などがあり、会社員や地域住民、観光客が往来しています。そんな甘酒横町に、大正6(1917)年から約90年に渡り、伝統ある技術を守り続けてきた1軒の三味線屋「ばち英」があります。誠実、丁寧な仕事振りで、一般の初心者から俳優、歌舞伎関係者といったプロまで、幅広く三味線奏者の信頼を集める銘店です。時代は変われど確かな技を伝える職人、「ばち英」2代目店主・小林英二郎さん、3代目英介さんにお話を伺いました。

仕事
一言で三味線屋と申しましても、三味線の販売だけを生業にしているわけではありません。また、制作上の分業が確立されていますので、三味線を一から制作しているわけでもありません。当店では、三味線の部品の組み立て、皮の張り替え(制作・修理)、販売、そして調律を含むアフターサービスが主な仕事となります。

「仕込み」と「皮張り」
三味線は「胴」と「棹」からなり、胴は胴屋、棹は棹師が作ったものを当店で組み立てています。これを「仕込み」と呼びます。仕込みの工程で一番気を遣うのが、胴に皮を張り付ける「皮張り」です。季節や気候などに影響を受けやすく、職人の経験と勘だけが頼りの、非常に繊細な作業です。
皮は、破れてしまった時はもちろんのこと、大抵2〜5年位で張り替えます。明治時代に作られた三味線を、皮を張り替えながら現在でも大切に使っているお客様もいらっしゃいます。

●皮張り
写真(1)写真(2)写真(3)
1.皮張りに使用する、白玉粉を水で練って作った糊   2.胴に糊を塗る   3.皮張り
 

昔ながらの伝統を守る
仕込みや皮張りといった作業は、職人が聴覚や触覚を最大限に活用し、身体で修得しなければならない技術です。ですから、それを伝えることは大変難しく、だからこそ伝統ある技術を継承していくことが、何より大切になります。加えて、三味線の素材も重要です。近年ではナイロンの絃やプラスチックの撥(ばち)を使うこともありますが、従来通りの絹の絃、木の撥の方が良い音を奏でます。また、素材に加え、たとえば「皮張り」作業の際には、白玉粉を水で練って作った糊を使いますが、これも昔ながらの技術の1つです。化学糊を使用すると、皮の張り替えができなくなってしまうので、そのようなことのないように、現在でも白玉粉を使用し続けているわけです。
写真(4)

写真(5)
三味線のアフターケア
当店の信条は、ご来店される全てのお客様に満足して頂くことです。初心者の方には、先生の紹介や些細なことでもアドバイスを差し上げ、熟練者の方には、皮の張り具合を見たり、調律したりすることでお役に立てるよう心掛けています。三味線はその楽器としての特性を含めアフターケアが大切ですから、量販店での販売は難しいのかも知れません。


三味線と歌舞伎
三味線は、基本的に歌舞伎と一緒に育ってきましたので、中央区とは切っても切れないご縁にあります。私が10代の頃は、河竹黙阿弥(江戸時代の歌舞伎脚本家)の本などを読み事前に勉強して、歌舞伎座によく観に行ったものです。歌舞伎は面白いので、今の若い人にももっと観て欲しいと思います。また、それは三味線への理解につながると思います。

人形町との深い絆
江戸時代から日本橋界隈は経済の中心地で、加えて人形町は芝居が盛んな地域でしたから、町人の芸事に対する意識が高く、当時は三味線を習う女性が大勢いました。また、かつてこの地にあった「芳町」という花街には芸事に秀でた芸者が多く、彼女達も三味線を上手に演奏しました。このようなことから、三味線屋は、人形町という歴史ある地域に根ざした商いだったと言えるでしょう。
人形町は治安も良く、日本的な情緒溢れる下町の風情を楽しめますので、観光やそぞろ歩きに是非いらして下さい。
写真(6)

 
DATA   店舗商品
ばち英
お稽古用三味線(細棹)は花梨製(6万〜8万円)、紫檀(したん)棹、紅木(こうき)棹など、棹の種類によって価格は上がり、100万円程の高級品もある。オーダーも可能。また、撥(ばち)には、象牙製、木製、プラスチック製があり、三味線の種類(義太夫用の太棹、常磐津節・清元節などの中棹、長唄・小唄用の細棹)によって大きさも異なる。胴が落ちないようにする「滑り止め」や棹の滑りを良くする「指掛け」といった小物類は、お稽古用三味線を購入されたお客様には進呈している。また、胴をカバーする「胴かけ」や「三味線ケース」「三味線箱」「教則本」なども取り扱う。初心者には先生の紹介も行っている。

住  所:中央区日本橋人形町二丁目10番11号(甘酒横町)
電  話:03-3666-7263
営業時間:9:00〜19:00 日曜休み
最寄り駅:東京メトロ日比谷線及び都営地下鉄浅草線人形町駅/
     
東京メトロ半蔵門線水天宮前駅/都営地下鉄新宿線浜町駅

 


2004年4月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
copyright2004 Tokyochuo.net All Rights Reserved.
東京中央ネットについて 東京中央ビジネスナビについて このサイトについて プライバシーポリシー